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個性が交わり、技術が磨かれる
エイリム・ドットチーム座談会
「エイリム・対話クエスト」は、社員や関係者とのリアルな会話を通じて、エイリムのカルチャーや想い、そして“人”の魅力をひも解いていく採用向けの連載企画です。
Vol.2では、エイリムのドットチームが登場。
異なる経歴を持つメンバーが、ドット絵の歴史や制作へのこだわり、そして個性が響き合うチームの強さを語り合います。
profile
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- ホッシー
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- まっつん
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- ソルト
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- たのも
意外な経歴を持つ
エイリム・ドットチーム
意外な経歴を持つエイリム・ドットチーム
――まずは皆さんのエイリム歴、ドッター歴、そして現在のお仕事を教えてください。
- 384
- 私はエイリム歴・ドッター歴ともに10年ほどです。
これまで『ブレイブ フロンティア』(以下、ブレフロ)や『ブレイブ フロンティア2』(以下、ブレフロ2)をはじめ、『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』(以下、FFBE)ではアートディレクターを務めてきました。
現在は、ドットチームのマネージャー兼アートディレクターを担当しています。
※「FFBE」は、株式会社スクウェア・エニックスが配信するタイトルです。 - ホッシー
- 僕は1987年にドッターとしてゲーム業界に入り、2000年からはプランナー職も経験しました。 エイリムには7年ほど在籍し、『FFBE』などを担当しました。現在はIPタイトルを中心に携わっています。
- まっつん
- ドッター歴は趣味の期間も含めて11年ほどです。もともとは外注としてエイリムと関わっており、そのご縁で入社しました。 エイリムでは『ブレフロ2』をはじめ、『FFBE』などにも携わり、現在はホッシーと同じくIPタイトルを中心に担当しています。
- ソルト
- 私は2025年4月に入社したばかりで、IPタイトルのキャラクター制作を担当しています。初めてドットに触れたのはかなり昔ですが、継続してドット絵を描くようになったのはここ10年ぐらいです。
前職ではIT系の仕事をしながら趣味でゲーム制作をしていましたが「本業にしたい」と思い、エイリムに応募しました。 - たのも
- 私も今年4月に入社し、IPタイトルのキャラクター制作を担当しています。業界歴は30年くらいで、ホッシーさんと同じくこの業界に入ったときはドットしかなかった時代に、パソコンゲームの絵描きから始めました。
エイリム入社前は専門学校の教員として3DやCGも教えていましたが、業界に入ったときから体に一番染み込んでいるドット絵をやりたくて、エージェントの方にドットをやっている会社としてエイリムを紹介いただき、入社することになりました。
――業界歴が長い方もいらっしゃいますね。
- 384
- 業界歴や過去の経歴がみんなバラバラで、個性的なメンバーになりました(笑)。
- ホッシー
- 確かにドッターをやっているのって古参の人が多いかもしれませんね。
- 384
- 前職がドッターで、エイリムでもドッターやりますっていうパターンはあまりないですね。
――そうなんですね。皆さんがドット絵を始めたきっかけは?
- ホッシー
- 当時ゲーム業界で絵を描こうと思ったら、そこには“ドット絵”しかなかったんです。。
- 一同
- 笑
- たのも
- ホッシーさんと私くらいの世代だと、ドット絵以外に選択肢がなかったですよね。
- ホッシー
- そうですね。絵を描く仕事をしたいと思ってアニメーションの専門学校に行ったんですが、どうも自分はアニメで食っていけそうもないと思えたので ちょうどその頃、ゲームが台頭してきて、求人も来ていたので就職しやすそうだったんです。で、聞いたことある名前の会社を受けたら入っちゃった、という感じです。
- 384
- 会社に入るまで、ドット絵は描いていなかったんですか?
- ホッシー
- コンピューターゲームでドット絵が使われているのは知っていたけど、自分がそれをやるとは思ってなかったですね。だから、最初にドットを打ったときは衝撃でした。線で絵を描くのではなく点々を打つっていうのが。初めてだったからその感覚が面白くて、朝出社して気がついたら夜になってる、というくらいのめり込みました。
――技術はどのように習得されたのですか?
- ホッシー
- それが誰も何も教えてくれないんですよ。 締め切りも特にないまま手探りで一日中描いて「こんな感じですか?」って見せて、OKなら使ってもらえるし、ダメなら使われない。しかもそのときは他に仕事がないから、手が空いてたらSE(効果音)を作るとか、やれることは何でもやってましたね。
――では、ほかの皆さんがドット絵を始めた理由は?
- 384
- 私は大学卒業後に印刷系の会社に入ったんですけど、心身が持たないなと。ちょうどそのとき、知人のゲーム会社で絵が描ける人を探していて、ノリで入ったらその会社がドット絵をやっていたという感じです。 一から学んでエイリムに来た、という流れです。
- まっつん
- 自分は大学卒業後に趣味でゲームのドット絵を描き始めたのがきっかけです。 もともとドット絵のグラフィックが好きで、アーケードやスーパーファミコンのキャラを見よう見まねで描いていたら、どうやら自分は描けるらしいと気付いて。それを続けていたらフリーランスで仕事をもらえるようになって、 その後エイリムに入社しました。当時のグラフィックチームのリーダーだった方と出会えたという運もあったと思います。
- ソルト
- 自分は子供の頃から10年ほど、父の仕事の都合でアメリカのシアトルで暮らしていまして。小学生の時に父のパソコンを使って、遊びでBASICという言語でプログラムを組んでいたんです。最初は文字しか打てないから文字だけのゲームを作ってたんですけど、絵を出したくなって描いたのがドット絵でした。 ただツールやマウスはなかったので、絵を作るプログラムを自作し、テンキーで点を動かしてスペースで色が付くようにして、16×16くらいの小さいキャラを動かして楽しんでいました。
――すごい話ですね……プログラミングで遊んでいた延長でドット絵を作ったと。
- ホッシー
- ソルトさんは帰国子女なので英語がペラペラで、特殊な経歴の持ち主なんです。
- ソルト
- アメリカの大学在学中に知り合いから「ゲーム会社をやろう!」と誘われて、口車に乗せられて大学を中退したんですけど、1回ゲームボーイのゲームを作って発売されたなと思ったら「じゃあ、開発チームは解雇ね」と言われて...(苦笑)。 その後は親からも堅実な仕事をしろと言われてIT系の会社で働いていましたが、やっぱりゲーム制作の技術を生かしたいと思い、今年エイリムに入社しました。
――本当に特殊な経歴ですね(汗)。たのもさんはいかがですか?
- たのも
- 小学校6年生のときにシャープのX1というパソコンを親に買ってもらったんですが、デジタルの8色しか出ないんですよね。 それで、とあるゲームで起動後に主電源を切らずにリセットキーを押して立ち上げ直すとキャラクターがメモリに残っていて、標準ツールで色々弄っていました(笑)。そういうことを趣味でやり始めたのがきっかけです。
――それを小学生で…?
- たのも
- そうですね。その経験がのちに仕事でドットを描くときに役立ちました。当時のパソコンは4096色中、一画面16色しか使えなかったので、16色のパレットで工夫していました。 例えば人を描くとき、肌色を3段階作るんですけど、他の色で1段階しか色が使えない場合、まず肌色を混ぜちゃう。そうすると3段階色ができる…といったことをしてました。
- ホッシー
- 要するに、市松模様に色を組み合わせて別の色を作るってことですよね。 昔はそういう方法でしか色を増やせなかったんです。
- 384
- 昔はブラウン管だと色が若干にじんで今と見え方が違っていたので、にじむ想定で作っていたという話も聞きました。
- ホッシー
- そう。だからにじむことを想定して作った昔のドット絵を液晶画面で見られると「それは見ないでくれー!」となります(笑)。当時はブラウン管でごまかせていたというのが、当たり前のことでしたから。

――昔のファミリーコンピュータなどのゲームをリマスターするときは、そうした調整も必要なんでしょうか?
- ホッシー
- 綺麗に見せるならやったほうがいいけど、しないでそのまま出されているものも結構ありますね。
- 384
- 作ってる側の気持ちとしては、当時のままがいいっていうのもある。
- ホッシー
- 確かにそれはあるね。
- ソルト
- フィルターとかで、ブラウン管風の表現もできますしね。
時代とともに変わる
ドット制作
時代とともに変わるドット制作
――昔と今では、ドットの作り方も大きく変わっていますか?
- ホッシー
- 僕が初めてドット絵を描いたときはマウスがなくて、4つのボタンがあるボードみたいな機材でファミリーコンピュータのゲームを作っていました。 当時は色数が4色だったので、4ボタンに1色ずつ割り振って描いていたんです。機材は会社ごとに特注していて何台もあるわけじゃなかったので、高価だったんじゃないかな。
- たのも
- 私は運よく最初からマウスが使えて、マルチペイントというツールを使っていました。でもコンシューマーは8×8のブロックでメモリの制約があるので、例えば“歩く絵”の場合は3枚のパターンだけ、というように決められていました。 今では制約がほとんどなくなり、完成度を求められるぶん、1枚にかかる時間と労力は増えたように感じますね。
- ホッシー
- 今は制約がないから、いくらでも作り込めちゃいますもんね。
- たのも
- クオリティーと制作時間のバランスを考えながら作るようになりました。
- ホッシー
- 当時と今では色数や解像度が違うし、ゲーム側の性能も向上したことで表現できる幅も変わった反面、やることも増えました。昔は性能が低かったぶん、ある意味“抜ける”部分もあったけど、今はごまかしがきかないのでドッターに求められるスキルも上がっていると思います。
- たのも
- 昔は攻撃の動きの1コマに防御の絵と似たポーズがあればそれを流用し、攻撃のパターンの中に入れて動きを作ったりしてました。
- ホッシー
- そうそう。流用できるものはなるべく流用しないと、そもそも容量に収まらなくなることもありましたよね。 あと、ドット絵の歴史で言えば、制作ツール『EDGE』の登場はとんでもなく大きかったですね。
- 384
- 今、エイリムでも最新版の『EDGE2』を使っています。
- ホッシー
- さっき話しましたけど、昔は制作ツールがなかったので『EDGE』が登場したことで、ドットを作りたい人の参入ハードルがすごく下がったと思います。ゲーム業界に入ってくる人はアニメーションを作れる人もけっこういますし、そういう人も『EDGE』は使いやすいんじゃないかな。
- ソルト
- ゲームにドット絵を入れる機能が一通り揃ってますよね。
- ホッシー
- 中堅の会社などは当時機材を用意するのも大変だったので、ツールの存在は大きいですよね。 開発元のTAKABO SOFTさんは、もっと称えられてほしい。
――『EDGE』の登場で開発は大きく変わったんですね。今はツールを使うのが一般的ですか?
- ホッシー
- 会社に入ってからツールを使い始めるのが一般的でしょうね。ソルトさんのように、自分でツールを作るのはかなり特殊なケースですよね(笑)。
- 384
- 当時でもPhotoshopはドットを打つのには向いていなかったんですか?
- ホッシー
- Photoshopはできることが多すぎるんですよね。書き出しやプリレンダリング用途には使いますけど、ドットを描くならもっと動作が軽いツールのほうが良い。
- ソルト
- Photoshopでドットを描くのは、電気ノコギリで紙を切ってる感じですかね。
- ホッシー
- オーバーパワーですよね(笑)。
――ドット絵だからこそ表現できる魅力、逆に難しい表現はありますか?
- 384
- カメラをぐるぐる動かすのは、ドット絵では厳しいですね。アニメーションでキャラクターを動かすのは何とかなるんですけど、それを180度ぐるっとカメラを動かしながらキャラも攻撃モーションとかさせるとなると、かなり厳しいと思います。相当な労力をかければできなくはないですが、そこまでやるならドットじゃなくても…(苦笑)。
- ソルト
- 滑らかな角度変化ではなく、絵が切り替わる“カクカク感”こそドット絵の良さだと思っています。カクカクしているのに、手作り感があるというか。意志を持って置かれたドット絵が、私は好きです。それを否定されると『ドット絵の良さを忘れてませんか?』と言いたくなる。
- 一同
- たしかに~!

ドット制作現場のウラ話
――開発現場で苦労したことや、印象に残っている失敗談はありますか?
- 384
- 一時期、エイリムで試作中のタイトルで、複数キャラのモーションをそれぞれ8方向分作るという話がありまして、ドッターからするとものすごく大変そうだなと感じました。
- まっつん
- 最初はカメラをキャラ中心に横方向の回転で動かすという話だったのが、途中から縦方向でキャラの頭上を回り込むように180度くらい動かすという話になって……。それはさすがに厳しい、という流れになっていましたね。
- ホッシー
- 失敗や苦労談とは少し異なりますが... 先ほども少し話しました、ブラウン管での表示を想定して作っていたのに、途中から液晶表示に変わってしまったことですかね。 スーパーファミコンでとある名作RPGのドットを作ってたんですけど、液晶だと荒く見えるような場面の画像をネットに貼られたりすることもありまして、あまり細かく見ないでほしいですね(苦笑)。ここまで長く業界にいるとは思ってなかったので……
- 384
- それだけ長く愛されるタイトルだからこそ、というのもありますね。
- まっつん
- 苦労話でいうと、入社直後に右も左もわからない状態で、いきなり『ブレフロ2』の「XBB(クロスブレイブバースト)」という4人合体技を作ってほしいと言われまして。
仕様もよくわからない中だったので「これは何か試されてるのかな」って……
- 一同
- 笑
- 384
- XBBは単に攻撃をするだけでなく“心の複雑な内情を表現”にもチャレンジしていたので、考えさせられました。その経験を経て、ドットで表現する限界も学びました(笑)。
- ホッシー
- どの業界でもそうなんですけど、無茶ぶりをされて、できる限りそれに応えて、後になって「あれメチャクチャ大変だった」というのはよくある話ですよね。
- 384
- やってる最中は楽しい部分もあるんですけどね。
――逆に、“これはいい仕事ができた”と思えるような作品やエピソードはありますか?
- まっつん
- 『FFBE』のエルマティルというキャラのアニメーションはうまくできたと思います。
- 384
- 『FFBE』のビジョンカードというシステムの開発中に、ルルカというキャラが水の中にいて、断面で切れて見えるという演出を試作しまして、周りの人たちがそれを見た瞬間に「いける」って言ってくれたことですね。
- ホッシー
- 384さんは本当に、いいところを持ってきて綺麗な表現をされるんですよね。
- 384
- まっつんさんの「いい仕事」といえば、ドットそのものももちろんですが、私の中で印象に残っているのが、とあるタイトルの版権元さんとの会議で「こういう風にドットを調整したい」という話が先方からありまして、オンラインで会議に参加されていたまっつんさんがその場でドットを調整してくれたんです。それが相手の信頼を得られたんじゃないかなって。
- ホッシー
- あの瞬間に空気が変わりましたよね、ファインプレーでした。
――まさに『これがエイリムのドッターです!』という瞬間だったのかもしれませんね。
- ホッシー
- たしかに、その場でパパパっと調整できるのは、ドット絵ならではの良さだと思いますね。
- 384
- ホッシーさんは、とある版権元さんへのプレゼンの際に、等身の低いキャラクターのドット絵をサンプルで作ってくれて。それが高橋社長も気に入って、私もさすがだなと思いましたね。
- ホッシー
- ありがとう、そういうのもっと言って(笑)。
――ところで、皆さんそれぞれドット絵で得意なジャンルはありますか?
- 384
- まっつんさんはオールラウンダーですけど、とくに“かっこいい男の子”が得意なんじゃないかなと思います。 女の子に関しては、可愛いんですが動きや雰囲気が似通っているところがあって。
- まっつん
- それはあるかも。さっき「女の子のキャラがうまくできた」って言っちゃいましたけど(笑)。
- ホッシー
- ドッターって少なからず“手癖”があるので、『同じ人が描いたのかな?』っていうのは見る人が見れば分かりますね。
- 384
- よく見てるユーザーさんだと「このキャラとこのキャラ、同じドッターが描いてる?」と言い当てていたりします。
- ホッシー
- 僕はモンスター描きだったので、やっぱりモンスターが得意かな。エイリムを離れた方の中にも、上手な人はたくさんいました。
- 384
- 私は「絵のここが得意」というより、仕上げの速さですかね。管理職をやりながらドットを描いているので、スピードで勝負しています。
- ホッシー
- 手が早いのは、この業界で大きな武器ですよね。かといって遅いからダメというわけではなくて、時間をかけて“圧倒的なもの”を作る人はいますし、完成したもので、周りを黙らせるタイプもいます。
――これからドットを学ぶ場合、どうやって入っていけばいいでしょうか?
- まっつん
- 好きなものを描くのが一番だと思います。
- ソルト
- やっぱり、真似をするのが上達の早道だと言われますね。
- ホッシー
- 僕は会社に入ってから初めてドットを描いたんですけど、まっつんくんは趣味からいきなり現場に入っているのがすごい。なかなかそういう人は珍しいですが、予備知識がない分、現場で覚えるスピードが速いんです。
- 384
- 私がそうでしたけど、専門学校で学んでた人は、最初ちょっとプライドが邪魔するんですよね(笑)。
- まっつん
- 自分、ドットと全く関係ない経済学部出身なんで。
- 一同
- 笑

世界に誇れる、
エイリム・ドットチームの流儀
世界に誇れる、エイリム・ドットチームの流儀
――皆さんがドット絵を描く際に、こだわっているポイントを教えてください。
- まっつん
- こだわりは、“シンプルに考えること”ですね。 とくにラフの段階では動きが伝われば十分なので、イメージを掴みやすいように描くことを優先します。清書の段階で、線を整えたり配色が汚くならないように注意したりします。
- 384
- 私は、絵を描く以外の作業をどれだけ時短できるかにこだわっています。むしろ、こだわるというか楽しんでいますね。キャラクターのドット絵はルーティンワークになることが多いんですけど、余計な手間を省いて、そのぶんドット絵にかける時間を取るようにしています。
- ホッシー
- 僕はこだわりとかないんですよね。 384さんが言ったようにしたほうが速いのもわかってるのに、途中で「こっちのパターンも試したい」と思ったら止まらなくなるタイプです…自分の首を絞めているのは分かっているんですが……
- 一同
- 笑
――今のお話からも、人それぞれ作り方に個性があることがよくわかりますね。
- 384
- 会社によっては工程がガチガチに決まっている場合もあると思いますが、エイリムは最終形式さえ整っていれば、途中のやり方は自由というスタイルです。
- まっつん
- あと、ドッター自身がモーションを考えて作るというのも、エイリムならではの珍しい文化かもしれません。
- ホッシー
- 自由にやらせてくれるのは大変だけど、楽しいですね。もう少し指示がほしい時もありますけど(笑)。
- 一同
- 深くうなずく
――今年入社されたお二人は、今のお話を聞いてどう感じますか?
- ソルト
- ドットはシルエットが大事だと思っていて、まっつんさんがおっしゃったように“何をやっているかが伝わること”が大事だと思います。それと、ドッターが動きを考えるっていうのは自由度が高いですがスキルも求められるなと。ほかの会社だと絵コンテが来て細かく指示があって。そもそもドッターが動きを作れると思われてなかったんですよ。
- ホッシー
- アニメーターとドッターは違うって聞くよね。
- ソルト
- ドッターはアニメ作れないだろうって思われてるから細かい指示が来るんですけど、ドッターからすると「これ指示書通りにドットに落とし込むの無理なんだけど」っていうのが多々あって、やり取りの往復が増えるっていうのはありましたね。 エイリムの「ドッターの裁量で動きを決められる」という体制は、ドッターへの信頼が大きいんだなと感じます。
- 384
- 信頼でもあるけど、それが無茶ぶりになる場合もあり……(笑)。
- ソルト
- どんな球を投げても、とりあえず捕ってくれるみたいな。
- 一同
- 笑
- たのも
- エイリムは、ほかのドッターさんからいろいろなアドバイスをもらえるのがありがたいですね。描く段階では自分なりに描くんですけど、出来上がったものをドッター同士で確認して、具体的な調整箇所をアドバイスしてもらえるから、どう直せばいいのかが非常にわかりやすいんです。フィードバック自体もすごく早いですし。
――チーム内でのチェックやリテイクは、どのような流れで行われていますか?
- 384
- ドットチーム全体のチャットスペースがあって、各担当者が作ったものを貼り、ドッター全員で確認する体制になっています。ほかの人がどういうものを作っているのかという勉強も兼ねて。 毎回全員じゃないですけど、「OKです」「ここを直してください」といった意見を出し合ってもらうんです。私は“誰がチェックしてもいい”と思っていて、そういう仕組みにしています。
――複数人から相反する意見が来た場合はどうしていますか?
- まっつん
- その場合は、自分が良いと思う方を選びますね。
- 384
- フィードバックも“絶対直さないとダメ”というものではなく、あくまでクオリティ向上のための提案です。最終的に良いものに仕上がれば、自分の意見と違う方向でも問題ないんです。
- ホッシー
- 皆プロなので、どちらに寄せても良いものにはなります。意見を言う側も、時には自分の手を止めて実際に修正案を出したりもする。それが自然にできているのが、エイリムドットチームの良い文化ですね。
- まっつん
- 僕が入る前は、けっこう厳しい指摘もあったようですが……
- 384
- 私も以前の上司と衝突したことあります(笑)。
- ホッシー
- ある程度の衝突は避けられないんですけど、やっていくうちに「いいものを作るための意見」だとわかるんですよね。いいものを作るためには多少の衝突を許容してでもクオリティを追求する。その積み重ねが今のチーム文化につながっていると思います。
- ソルト
- 私も何度かチェックしてもらいましたが、5分後にはフィードバックが来て驚きました。外注でやってたときは一人で抱え込んでいたので、今はドットチームの皆さんからいろいろな意見をくれるのがとても楽しいです。
- たのも
- 以前の会社では上司の主観で方針が決まっていたので、自分と同じ立場の同僚たちからいろいろな意見を聞けるっていうのが新鮮です。その中で自分がこれだと思う方法を選んで調整できるので、ストレスやプレッシャーをあまり感じずに作業できています。
- 384
- 普通の会社だと上司が作ったものに意見しづらいと思うんですが、この形式ならアートディレクターや上司にも気兼ねなく意見が言えるんです。私が作ったものにもバシバシ意見をもらって良い形にできるので助かっています。

特殊な技術職
「ドッター」の未来
特殊な技術職「ドッター」の未来
――ドッターならではの“職業病”だなと感じるときはありますか?
- まっつん
- ショップでドット絵のグッズを見かけたとき、ドットの数や大きさが不規則だとすぐ気づいちゃいますね(笑)。
- 384
- わかります。とあるゲームのキャラクターのラバーキーホルダーで、目が1ドットなのに眼鏡のフレーム部分が0.5ドットになってて変だなって(笑)。
- たのも
- セオリーに反しているドット絵を見ると気になりますね。
- ホッシー
- 自分のフォーマットと違うと『俺だったら1ドットずらすな』とか思っちゃうんですけど、そういうこと考えてる自分にも『うぜ〜』って(笑)。
- まっつん
- あと、昔のスーパーファミコンのゲームを今遊ぶと、ついグラフィックばかりに目がいっちゃうんですよね。
- ホッシー
- 「こんなこと考えてるの自分だけだよな」と思ってたけど、ドッターはみんな思ってたんだな(笑)。
――今後、ドットで挑戦してみたい表現はありますか?
- ソルト
- 個人の趣味としては、3D的な立体感を出すために、ドットを縦に重ねるという試みをしています。
- まっつん
- ドット絵そのものより、“ドット絵の見せ方”が進化していくと思います。HD-2Dの登場もそうでしたが、ドット絵以外の部分の表現次第で印象が大きく変わるなと。
- ホッシー
- ドット絵が市民権を得たぶん、逆に「ドット絵とはこういうものだ」という固定概念が生まれてしまった気がします。インディーズゲームのドット絵を見て「面白い表現してるな」と悔しくも勉強になることがあるので、新しい表現を探るときは固定観念を取り払わなければ、と思いますね。
- 384
- ピクセルアートのイベントにエイリムとして呼ばれることがあったんですけど、そこに出展されているポストカードを見ると、一枚絵としてすごく綺麗なドット絵が多くて刺激を受けました。 そういうアーティスト寄りの絵も手がけられるようになって、エイリムでもピクセルアートのグッズを作ってみたいなと思っています。
――ピクセルアートとゲームのドット絵は、似ているようで実は違うものなんですね。
- 384
- はい。すごく綺麗なピクセルアートが1枚あれば、ゲームのキービジュアルとしても使えると思いますね。
- まっつん
- フィルターとかエフェクトを掛けて光の表現を工夫してますよね。
- ソルト
- ピクセルアートはPhotoshopで描く人が多くて、写真加工の技術を応用している人もいます。データを見せてもらうとレイヤー20枚くらいあって、フィルターの効果を外していくと、元は滑らかなグラデで描いてるんです。驚きました。
- ホッシー
- 機能を使いこなしているということですよね。出力を想定した設計ができているのがすごい。そういう意味では嫉妬しますね。今度教えてもらいたいな(笑)。
未来の仲間へ
――最後に、エイリムで“ドットデザイナー”に興味がある方へ、一言お願いします!
- ソルト
- 中途入社の立場から言うと、これまでのドット絵の経験を活かしながら新しい挑戦ができる場所です。自分の能力の殻を破れる環境だと思います。そうせざるを得ない面もありますが(笑)
- たのも
- わからないことを聞くといろいろなアドバイスがもらえるので、引き出しがどんどん増えます。個人でやっているよりもプレッシャーも少なく、精神的にも負担が少ない環境です。
- まっつん
- 毎日ドット絵を描くので、確実に上達します!
- 384
- それは間違いない(笑)。
- まっつん
- スキルアップしたい人には本当におすすめです!
- ホッシー
- 僕が伝えたいのは「躊躇してるなら、まず来ればいいじゃん!」ってことですね。やらない後悔よりもやって後悔したほうがいいし、やりたいことをやろうよ、と。現場に来たら遠慮することないし、こっちも遠慮しませんので(笑)。
- 384
- アーティスト寄りのイメージを持つ人もいるかもしれませんが、エイリムのドッターはあくまで“デザイナー”です。 自分が作ったものに対して、“なぜこのデザインにしたのか”を明確に説明できることが大切です。デザイナーであるうえで個性的なことは問題ないです。私も職場にぬいぐるみを持ち込んだりしていますし(笑)。個性的な方は、丸くならずにドットのように尖っていて全然いいと思います。 ただ、大前提として、組織の一員として働ける方をお待ちしています!
